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司法試験〜概要

 司法試験は、「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を有するかどうかを判定することを目的とする国家試験」である(司法試験法1条1項)。よって、法曹三者の職に就こうと志す者は、原則として司法試験を受験し、合格しなければならない。昔は、「高等文民試験」、略して「高文(こうぶん)」として実施されていた司法試験であるが、(旧)司法試験を経て、平成18年度から現行の司法試験制度が始まっている。
 司法試験(法1条3項)は、法科大学院課程における教育及び司法修習生の修習との有機的連携の下に行われ、法科大学院の課程を修了した者(法4条1項1号)、司法試験予備試験に合格した者(法4条1項2号)でなければ受けることができない。この受験資格を満たしていても、さらに受験回数の制限があることに注意しなければならない。すなわち、法科大学院修了の日後(司法試験予備試験合格の発表の日後)の最初の4月1日から5年を経過するまでの期間に3回の範囲内でしか受験することができないのである。
 試験は、短答式(択一式を含む)及び論文式による筆記の方法で行う(法2条1項)。科目は短答式においては、公法系科目民事系科目刑事系科目の3科目(法3条1項)、論文式においては、公法系科目民事系科目刑事系科目・専門的な法律の分野に関する科目として法務省令で定める科目のうち受験者のあらかじめ選択する一科目(選択科目)の4科目である(法3条2項)。公法系科目とは、憲法・行政法、民事系科目とは、民法・商法・民事訴訟法、刑事系科目とは、刑法・刑事訴訟法のことをいう。したがって公法・民事法・刑事系の3科目といっても、実質は憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の7科目を課すのである。従来の司法試験の科目が行政法を除く“六法”であったのに対し、現行試験は“七法”を課し(選択科目も含めれば八法)、受験生にとっては科目数の点からいうと負担が増えたことになる。
 司法試験法の委任を受けて、法務省令である「司法試験法施行規則」(平成十七年法務省令第八十四号)が定められている。すなわち選択科目は、倒産法(規則1条1号)、租税法(規則1条2号)、経済法(規則1条3号)、知的財産法(規則1条4号)、労働法(規則1条5号)、環境法(規則1条6号)、国際関係法[公法系](規則1条7号)、国際関係法[私法系](規則1条8号)の8科目で、受験生はこれらの科目から1科目を選択して、論文式の試験を受けることになる。また民事系科目については、商法第3編「海商」に関する分野を出題分野を除くとされている(規則2条1項2項)。なお、「保険法」(平成二十年法律第五十六号)制定に伴い、商法の保険に関する規定は「削除」されている。
 各科目の問題数と配点は、以下の通りである。
 (A)短答式
  (1)公法系科目…40問程度、100点満点
  (2)民事系科目…75問程度、150点満点
  (3)刑事系科目…40〜50問程度、100点満点
 (B)論文式
  (1)公法系科目…2問、200点満点(100×2)
  (2)民事系科目…2問、300点満点(200+100)平成23年度より、3問(各100満点)に変更
  (3)刑事系科目…2問、200点満点(100×2)
  (4)選択科目…2問、100点満点(50×2)

 試験は4日間もの長丁場となる。短答式試験の3科目で一定の点数を獲得できなければ、論文の採点をしてもらえない。いわゆる“足きり”であり、毎年平均点によって変化するが、350点満点のうち、210点〜215点程度が足きりラインである。更に各科目の得点のうち一つでも4割以下の点数をとると足きりとなる。論文式試験の方にも各科目の最低点が定められており(25%)、それを下回ると不合格となる。
 論文式試験の各科目の得点を出す際には各採点者の平均の点数を採るなど、ルートや分数を含む得点調整が行われるが、読んでみたところで細かいことはよく分からなかったのでパス。最終合格判定は、平成21年度以降、(短答式の得点)×1/2+(論文式の得点)×1400/800の算式で出された点数により決められる(1575点満点)。すなわち、短答(175点満点):論文(1400点満点)=1:8の割合で判断するということである。